障害の状況と操作環境の知識
まえがき

1.障害について   (肢体不自由)
2.入力支援        ユーザー補助機能などの活用
3.Windowsの操作方法
4.障害について 
(視覚障害)
入力支援    画面が少し見える場合
6.その他
7.パソコン等に関する福祉支援制度
8.Windowsの操作方法 ユーザー補助機能の活用
9.Windowsの操作方法 基本操作とショートカットキー
10.Windowsの操作方法 便利なキー操作
11.Windowsの操作方法 PCトーカーのコマンド
12.Windowsの操作方法 事前準備と講習内容
13.オペレートナビ操作ガイド
14.
なるほどネット作成の パソコン講習テキスト   mv-all.exe    
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障害の状況と操作環境の知識 

1.障害について(NO0001) (肢体不自由)
 (1)肢体障害の大きな分類

  @下肢障害
   下半身に障害がある場合でも、上肢(腕や手、指)や体幹に障害がない湯合は、パソコンの操作に不自由はあまりありません。
    障害によっては、座位を保つことや排泄などの自由がききにくい湯合もあるもで理解しておくこと。

  A 上肢障害
  i)片手の障害
    脳血管障害の後遺症などで、片手が不自由な場合はユーザー補助機能を活用する。
    設定・・・ユーザー補助(固定キーなど)、マウス設定(左利き設定など)
     ※脳血管障害では、言語や記憶に障害を残している場合もあるので理解して指導する必要がある。
  ii)上肢に不随意運動がある場合
   脳性麻痺などで、腕に緊張などの不随意運動がある場合。意思に反して力が入ってしまったり、細かい作業が苦手。
    設定・・・キーを正確に押すことやマウス操作のためのためのユーザー補助設定が必要になる。
       (固定キー、フィルターキー、マウスキーなど)
    自助具‥キーガードやラクラクマウス等の使用を考慮する。
 iii)上肢の筋力が弱い場合
   筋ジストロフィーなど、指の動きは正常だが、筋力が弱く、固いボタンを押せなかったり、腕を動かしたり支えたりすることが難しい。腕を大きく動かさないで操作する工夫が必要になる。
    設定・・・ユーザー補助機能のほかに、スクリーンキーボードの活用も考慮する。
    自助具‥小型のキーボードやトラックボールなども考慮する。
        その他キー配置を変更できるソフトウェア等も検討する。
 iv)指の障害           
   頸髄損傷などのために指が自由に動かせない障害の場合、腕や口を使ってパソコンを操作する自助具を工夫するほか、キー入力やマウス操作に工夫が必要になる。
    設定・・・ユーザー補助機能(固定キーなど)
    自助具‥小型のキーボードやタイピングェイド・スティックの利用、トラックボール(必要に応じボタン改造)なども考慮する。
        その他キー配列を変更できるソフトウェア等も検討する。

  B 体幹障害
  からだ全体に障害があり、動かせる部分が少ない。(障害の状況にはかなり幅がある)動かせる部分に合ったスイッチを使って、パソコンを操作する工夫が必要な場合もある。


 2.入力支援(NO0002)

  ○ユーザー補助機能などの活用

  (1)キーボード、マウスを使える場合
    あ)キーボードが使える場合。
      キーが正確に無理なく押せるかどうか、キーガードが必要かどうか。

     キーボードの設定
     1.「コントロ←ルパネル」「キーボード」「速度」タブ
     2.表示までの待ち時間を長くする(キーリピートまでの時間)
     3.表示の間隔を遅くする(キーリピートの間隔)
    い)マウスが使える場合。
      マウスが正確に無理なく動かせるか、ボタンが押せるか。トラックボールなども検討する。

     マウスの設定
     1.「コントロールパネル」「マウス」「ボタン」タブ
     2.右きき用、左きき用を選択する(必要に応じて)。
     3.ダブルクリック速度を調整する。初心者は遅く、慣れた人は速く設定する。
     4.「動作」タブ(WindowsMeは「ポインタオプション」)
         5.ポインタの速度を調整する。
         6.軌跡を調整する(液晶ディスプレイでは見やすくなる。)
         7.アクセラレーションを調整する(マウスをゆっくり動かしたときは少し移動して、速く動かしたときは大きく移動する)
         8.速度を調整する(マウスポインタの移動の速度)
         9.オートジャンプを設定する(デフォルトのボタンに自動的に移動する)

   (2)キーボードが使える場合(マウスが使えない場合)
      あ)ユーザー補助の設定をする。
        1.「コントロールパネル」「ユーザー補助」「キ←ボード」タブ
       2.固定キーの設定する0 オプションとメッセージをすべてチェックする。
         同時に複数のキーを押せない場合に設定する。
         Shift、Ctrl、Altを1回押すと押しっぱなしの状態になる。
         Shift、Ctrl、Altを2回押すとロックされる(連続して入力できる)。
         タスクトレイに状態が表示されるので確認する。
        (上はShiftキー、右下はCtrlキー、左下はAltキー)
      3.フィルタキーの設窟をする。キーリピ←トなどを調整する。
         緊張などでキーのミスタッチがある場合に設定する。
              「繰り返して入力されたキーは無視する(バウンスキー)」
              短い間隔で同じキーを押されたときに、2回目以降を無視する。
             (緊張などで、連続してキーを押してしまう場合に利用する。)
             「速いキー入力は無視して、リピートの間隔を無視する(スローキー)」
         (一定時間キーを押しつづけないと、キー入力が出来ない。間違ってキーを押してしまう場合に利用する。)
    4.マウスキーの設定をする。速度などを調整する。
    5,「全般」タブ
    6.自動リセットを無効にする。必ず設定する

 (3)マウスが使える場合(キーボードが使えない場合)
   マウスの代わりにトラックボールなどでも可能。
   あ)(1)の い)の設定をする。
   い)文字入力にはソフトキーボードを使用する。
    1. 日本語入力をONにする。
    2.ツールバ←の「IMEパッド」ボタンをクリックする。
    3.「アプレットメニュー」から「ソフトキーボード」を選択する。
    4.「配列」を切りかえる。
    (ローマ字入力は不可。ひらがな50音順が使いやすい)
  う)スクリーンキーボードを利用する(WindowsMe以降)
    「アクセサリー」「ユーザー補助」「スクリーンキーボード」
   必要に応じてキー配列の変更や入力方式を変更する。
   マウスで操作(クリックしないで使う機能あり)のほかスキャン入力もある。

 (4)キーボード、マウスが使えない場合
   代替の機器を使用する。
   あ)トラックボール
      ボールを転がしてマウスを操作する。ボタンをロックしてドラッグできる機種もある。
     使い方はマウスと同じ。文字入力はソフトキーボードを使用する。
  い)スライドパッドくタッチパッド)
    指でなぞってマウスを操作する。ノートパソコンによく使われているもの。
  う)タブレット
   専用の台の上でペンを動かしてマウスを操作する。
 え) らくらくマウス2
   ボタンまたはジョイスティツクでマウスを操作する
                                      http://www.kktstep.org/
   文字入力はソフトキーボードを使用する。

 (5)スイッチだけでパソコンを操作する方法
  あ)オベレートナビEX、ディスカバースイッチなど
    スイッチでWindowsを操作するためのソフト。文字入力、ソフトの操作ができる。
      スイッチとソフトで実現する。スイッチは様々な種類がある。大きさやスイッチの重さ、赤外線センサーなど、障害の状態によって最適なスイッチを選定することが必要になる。
   オペレートナビEX       
   ディスカバースイッチ   
  い)伝の心
   重度障害者意思伝達装置。ボタンで文字入力などをするほかにも、家電製品をリモコン操作すこともできる。日常生活用具給付品目。
                                   http://www.hke.co.jp/products/dennosin/denindex.htm
  う)ヘッドマスター、トラツカー
   頭につけた赤外線装置で頭の動きを受信し、マウスを操作する。


3.Windowsの操作方法(NO0003)
 (1)キーボードを使う場合。
   マウスキーを使う場合でも、ショートカットキーなどとの併用を活用する。
 (2)マウスのみを使う場合。
   右ボタンで表示されるコンテキストメニューを活用する。


4.障害について(NO0004) (視覚障害)
  視覚に障害のある人の指導にあたっては、聴覚や触覚を最大限に活用して画面のイメージを作ってもらうように心がけることが必要です。
 少し見える場合でも文字としての認識や広い範囲を見ることができない場合が多い。また、点字が読める人は必ずしも多くないのが現状。


.入力支援(NO0005)
  画面が少し見える場合
     1「画面のプロパデイ」「デザイン」で文字の大きさを調整する。
     2「コントロールパネル」「ユーザー補助」「画面タブ」でハイコントラストモードを利用する。
     3「コントロールパネル」「マウス」でポインタの大きさ、軌跡を利用する
    4「アクセサリー」「拡大鏡」を利用する
       ◎拡大鏡の特徴
         拡大表示は画面の上部、下部や左右に移動させることができる。
         ウィンドウの形で表示させれば、自分の好きな場所に移動させることも可能。
         反転表示(黒い画面に白い文字で表示すること)ができる。
      ○倍率を上げていくとアイコンや文字のギザギザが激しくなり見えにくくなる。
      ※その他画面の解像度やメニュー文字やアイコンの大きさ設定の変更も検討する

 ◎見えにくい人のためのソフトウェア
   (1)画面拡大用ソフト ZoomText(ズームテキスト)など
     通常のパソコンの画面表示を拡大してアイコンや文字を見やすく表示する。
 (2)画面挑み上げソフト 2000Reader,PC−talkerなど
     ○パソコン画面で今おこなっている操作を音声で読み上げる。
     ○入力した文章を読み上げる。
     ○漢字の変換候補を例をあげて読み上げる。
     例:“再建’’「再生の再に建築の建」
 (3)音声認識・合成ソフト  VlaVoIce、SmartVoIceなど
    マイクを通した自分の声で、Wlndowsの操作ができる。
    注:はっきりした発音でない場合は、ソフト上で認識されない場合があります。
  (4)活字認識自動朗読ソフト よみとも、ヨメールなど(本などをスキャナで読取り)、
    ○文字(テキスト)として認織する。
    ○文章を音声で読み上げる。
    ○拡大して読みやすく表示する。

 ◎見えにくさ別操作方法
  Wlndowsに標準装備されている(拡大鏡)というソフトを見せて、どのくらいの拡大倍率が自分にとって一番見やすいかの目安になります。
 〔1-1〕画面やアイコンがもう少し大きければいい人(拡大率2〜3倍)
     ○「ユーザー補助の設定ウイザード」を使用して画面を見やすく設定する。
     ○ Wlndowsに付属している(拡大鏡)を使ってみましょう。
      見にくい場合、画面拡大用ソフト ZoomText などもある。
     ○いろいろなソフトについている拡大機能を使ってみましょう。
     例:ワープロソフトの表示設定や文字サイズ変更などを利用。
 〔1-2〕画面の文字やアイコンがかなり大きくないと支障がある人(拡大率4倍以上)
    ○画面拡大用ソフト(ZoomText)がおすすめ。
    ○画面拡大用ソフトと同時に音声の補助があるとよいでしょう。
     画面読み上げソフトを一緒に使ってみましょう。
 〔1-3〕画面の文字やアイコン、マウスポインタを見ながらの操作が難しい人
    ○(2000Reader)もしくは(PC−talker)などの画面読み上げソフトの音声ガイドを頼りに操作する。
     *キーボード操作だけでアプリケーションを動かす知識が必要。 

 ◎印刷物を1人で読みたい人
      ○スキャナと活字認識自動朗読ソフトを揃えれば、ある経度読めるようになります。
       (ソフトだけで約10万円、スキャナの代金を含めると12万円くらい)

 ◎見えにくさを補うソフトウェア
   ◇画面拡大用ソフト
       ZoomText Xtra 価格:58、000円(税別)販売:日本電気株式会社
       動作環境:Wlndows95,Wlndows98,Windows Me,Wlndows NT4・0,Wlndows2000
      表示倍率:標準画面の2〜16倍
    ◇画面読み上げソフト 1
      95Reader Ver.4.0(愛称2000Reader)価格:34,800円(税別)
     発売元:株式会社システムソリュいションセンターとちぎ
     主な機能:
        ○操作画面の音声化
        ○入力文書の読上げOEメール、ホームページの読み上げ
   ◇画面読み上げソフト 2 
     pc−Talker Version4.0 価格:38,000円(税別)
      発売元:株式会社高知システム開発
     主な機能:
        ○操作画面の音声化
        ○入力文書の読上げ
        ○Eメール、ホームページの読み上げ
        ○キーボードからのマウス・ポインタの操作が可能。
           添付アプリケーションでの画面拡大機能など、95Readerにはない機能を備えています。
  ◇活字認識自動朗読ソフト
    ョメールVer4 価格:95,000円(税別)発売元:株式会社アメディア
    主な機能:
       ○印刷物をスキャナにセットし、スペースキーを押すだけで読み上げを開始。
       ○印刷物の上下・左右を間違えてセットしても正しく読み上げ。
       ○各種操作はテンキーからできる。
       ○読み取った印刷物の拡大表示。


6.その他(NO0006)
 障害に応じた設定が重要になる。無理なくストレスを感じないような設定を心がける。
 医師や理学療法士、作業療法士とメーカーのサポートスタッフとの連携も重要になる。
 思考錯誤を繰り返して、使いやすい設定を見つける努力が必要。また、障害の進行に合わせて、設定の見直しも必要になる。
 あくまでサポートであることを理解し、障害をもつ本人が無理なく楽しくパソコンを使えるようにしていくことが大切になる。


7.パソコン等に関する福祉支援制度(NO0007)
重度障害者(児)日常生活用具の給付(国の制度)

○重度障害者用意志伝達装置
 両上下肢の機能の全廃及び言語機億を喪失した者であって、コミュニケーション手段として
 必要があると認められる者
 ◆意志伝達装置(ホーキングさんが使ってるようなもの。50万円)
○ワ一ドプロセッサー
 上肢障害2級以上又は言語、上肢複合障害2級以上(文字を書くことが困難な者に限る。)
 ◆ワープロ 11万8500円、(パソコン+プリンター+ソフトでもかまいません)
○携帯用会話補助装置
 音声言語機能障害者又は肢体不自由者であって、発声・発語に著しい障害を有する者
 ◆携帯用会話補助装置 9万8800円(トーキングエイドなど)

ニュー福祉機器助成事業(岐阜県の制度)

○パーソナルコンピュータ(11万8000円)
 外出又は意志伝達が困難な身体障害者
○パーソナルコンピュータ通信用モデム・ソフト
 外出又は意志伝達が困難な身体障害者
○パーソナルコンピュータ用特殊入力装置(6000円)
 パソコン又はワープロの入力操作が困難な身体障害者
○視覚障害者用パーソナルコンピュータ周辺機器(1万5000円)
 視覚障害者でパーソナルコンピュータのディスプレイ装置による表示を確認することが困難な者

事業と施設
○視覚障害者パソコン研修事業(パソコンの基本的操作に関する研修)
 〔照会・申込先〕(社)岐阜県視覚障害者福祉協会(058−265-2946)
○ふれあいパソコンネットワーク事業
 パソコン通信を通じて、障害者の社会参加を促進し、コミュニケーションの場をひろげ、身体
 障害者のための情報を提供します。
〔照会先・申込先〕(財)岐阜県身体障害者福祉協会(058−273−1111 内線2540〜2542)


 ※福祉メディアステーション
 〔所在地〕大垣市加賀野町4丁目1−7(ソフトピアジャパンセンター1F)
     福祉メディアステーション(0584−77−1282(FAX兼))
 ※視覚障害者生活情報センター(アソシア)
 〔所在地〕岐阜市梅河町1−4
      視覚障害者生活情報センターぎふ(058−263−1310)


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