視覚障害者に対するパソコンボランティア養成講座
パソコンボランティア養成講座テキスト

 [はじめに]

 [1.視覚障害者とは]

 [2.音声操作]

 [3.ホームページ閲覧]

 [4.メール送受信]


担当講師 パラボラ相模原 椎野孝伸さん
2002/09/30〜2002/10/02

はじめに
 
 私どもパラボラ相模原は、身体に障害を持った方々の日常生活におけるパソコン利用をお手伝いするために、日頃、定期的にパソコン教室を開催したり、また、利用者宅にお伺いして、パソコンのセッティングやソフトの設定を行っています。そして、体のどの部位に障害があるかによって、パソコンのサポート方法もまったく変わってきます。あらゆるサポートに対応できるよう、使いやすい周辺機器を探したり、専用ソフトを理解するための学習は、とても重要であると考えています。

 今回の養成講座は、主に視覚障害者の方に対するサポートについて、講義を進めて参ります。「視覚に障害がある」ということは、パソコンを利用する際、「画面を見るということが不可能」ということを意味します。そこで、視覚障害者がパソコンを利用するためのソフトを用意したり、私たちがなにげなくマウスで操作していることをキーボードのみで操作するということになるのです。具体的なソフトの紹介や操作方法は順次説明していきますが、今回は主に文字入力、ホームページの閲覧、電子メールの送受信について、実際に操作しながら解説いたします。

 身体障害者を対象としたパソコンボランティアなので、ただ単にパソコンの操作技術の向上だけではなく、障害者の理解や接し方についても、知っていただくことが重要であると考えています。どの部位にどの程度の障害を持っているかによって、その方のできること、できないこと、必要な援助のしかたがまったく変わってきます。障害を理解することによって、よりよいパソコンサポートと円滑なコミュニケーションが図れるのです。よって、視覚障害者用ソフトの解説に加え、視覚障害者その者についても、講習の内容に加えていきたいと思います。

 この養成講座をきっかけに、障害者への理解が深まり、そしてひとりでも多くの方々がメンバーとなり、ともに活動していただけることを期待して止みません。

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第1章 視覚障害者とは

 あなたは「視覚障害者」と聞いてどのような想像をされますか?また視覚障害者と接したことがありますか。パソコンの操作方法を学ぶ前に、視覚障害者について、そしてコミュニケーションの図り方について理解してください。

第1節 視覚障害者の分類

  1. 全盲  ・・・ 視力を全く持たない状態
  2. 光覚・手動娩(しゅどうべん)・指数娩(しすうべん) ・・・ 明暗の判別・手の動き・指の本数が分かる状態
  3. 弱視  ・・・ 矯正しても視力が0.3までしか上がらない状態
  4. 視野狭窄 (しやきょうさく) ・・・ 見える部分が狭い・限られている状態
  5. ※これらの4つの見え方が重複している状態もある

第2節 「目が見えなくなる」というのはどういうことか

  1. 聴覚・触覚によって外部からの情報を取得する
  2. 音がしない・感じない状態では「存在しない・認知できない」となる(人の表情・しぐさ・態度など)
  3. 全体像の把握が困難

第3節 視覚障害者と会う場合

  1. 合った時・その場を離れる時には一声かけて
  2. 説明は具体的な言葉で(指示語・代名詞は避ける)
  3. 物の位置や方向を示す時、時計の文字盤に合わせて説明すると便利
  4. 声と共に軽く触れて
  5. 案内する時には自分の肘を捕まってもらう
  6. 歩く時には自分が半歩前、2人分の幅を考えて、そして声で常に情報を
  7. 行き過ぎた援助は不要、何ができて何ができないか、そしてどのような援助を必要とするのかをコミュニケーションを通じて徐々に理解していく

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第2章 音声によるWindowsの操作

 画面を見ることが困難な視覚障害者がパソコンを利用するためには、通常のwindowsパソコンに「スクリーンリーダー」という音声化ソフトをインストールして使います。
  
■使用ソフト: PC‐Talker(高知システム開発)
          Microsoft Word(Microsoft)

第1節 スクリーンリーダーの特徴
  1. 画面に表示された文字を音声で案内
  2. 入力した文字・キー操作を音声で案内
  3. スクリーンリーダーの限界

第2節 パソコン操作における晴眼者と視覚障害者の相違点

  1. キーボードのみで操作
  2. 操作できるのは音声化してくれるところのみ

第3節 アプリケーションソフトの起動のしかた

  1. スタートメニューの表示:   Windowsキー(Ctrl+Esc)
  2. スタートメニュー内の移動: 矢印キー
  3. ソフトの起動:         Enterキー

第4節 文字入力

  1. 文字を音声の高低で判別
  2. 文字種も音声ガイドで確認
  3. 漢字変換を熟語読みでガイド
  4. 例 「かみ」という言葉を変換した場合
    紙 ・・・ 紙幣のし・かみ
    髪 ・・・ 毛髪のはつ・かみ
    神 ・・・ 神経のしん・かみ

第5節 様々な音声ガイド

  1. 現在編集中の文書名の確認:   Alt+F1
  2. 編集中のページ設定の確認:   Alt+F3
  3. カーソルがある行を読む:     Ctrl+Alt+J
  4. カーソル位置から文末まで読む: Alt+F10
  5. 現在のカーソル位置の確認:   F9
  6. 基本的な音声ガイドの設定:    Ctrl+Alt+F12

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第3章 音声によるホームページの閲覧

 IBMホームページリーダーver3.01を使って音声環境でホームページの閲覧をしてみましょう

第1節 ホームページリーダーの特徴
  1. ソフト独自の音声ガイド ※音声が2重に鳴るのでスクリーンリーダーの音声を停止するとよい Ctrl+Alt+F2(音声停止) Ctrl+Alt+F3(ソフト終了)
  2. テンキーのみでほとんどの操作ができる
  3. 男性音・女性音で本文・リンクを区別

第2節 ホームページリーダーの操作
  ※以下に挙げるキーは全てテンキーによる

  1. 全文読み:                          0
  2. 停止:                             Enter
  3. 本文を1文ずつ読ませる
       カーソル位置より後の文を読ませる:       4
       カーソル位置の文を読ませる:           5
       カーソル位置より先の分を読ませる:       6
  4. 句読点ごとに読ませる
       カーソル位置より後の句読点までの分を読ませる: 7
       カーソル位置の句読点までの文を読ませる:     8
       カーソル位置より先の句読点までの分を読ませる: 9
  5. リンクを探す
       カーソル位置より後のリンクを読ませる:     1
       カーソル位置のリンクを読ませる:         2
       カーソル位置より先のリンクを読ませる:     3
  6. リンクから次のページへ移動:          2をダブルクリック
                                 Plus+2
                                 ※Enter
        ※ここでのEnterはキーボードの方であることに注意
  7. 前のページに戻る:               Num Rock

第3節 その他の操作方法
  1. 音声スピードを変える: Alt+PageUp(早)、 Alt+PageDown(遅)
  2. お気に入りへの登録: Plus+マイナス
  3. ページ内の先頭・末尾へのジャンプ: Plus+4(先頭)、 Plus+6(末尾)
  4. URLの入力: Plus+ピリオド
  5. フレームの移動: Ctrl+Tab

第4節 読みにくいホームページ

  1. 動画や画像を使用しているページ
  2. フレーム分割されたページ
  3. 広告など不必要な情報が多いページ
  4. 目的の情報が発見しにくいページ
  5. 【参考】読みやすいホームページの例
    Google(検索エンジン)          http://www.google.co.jp/
    毎日新聞                 http://www.mainichi.co.jp/
    高知システム開発            http://www.aok-net.com/
    日本点字図書館             http://www.nittento.or.jp/index.htm

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第4章 音声による電子メールの送受信

 スクリーンリーダーとメーラーソフト「MMメール」を使って音声環境でメールの送受信をしてみましょう

第1節 MMメールの階層構造
  1. メールボックス画面
  2. メールリスト画面
  3. メール内容画面
  4. 添付ファイル画面(添付ファイルがあるメールのみ)

第2節 受信する:

 メニューバーから「ファイル」⇒「受信」を選択
        Ctrl+M
        F4
 (受信が始まる)

第3節 送信する:

 メニューバーから「ファイル」⇒「新規メールの作成」を選択
        Ctrl+N
        F6
 (新規メール作成のウィンドウが開き、本文・件名・アドレスの入力後、メニューバーの「メール」⇒「送信する」を選択、Ctrl+Sでもよい)

第4節 返信する:

 メニューバーから「ファイル」⇒「差出人に返信」を選択
        Ctrl+R
        F7
 (以後、新規メール作成と同じ)

第5節 音声ユーザーに送信するときの注意点

  1. メールはテキスト形式で
  2. 引用は最小限に
  3. 絵文字(フェイスマーク)

以上

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